引退の日が近づく父のはなし

夏のような日差しです。
街を歩いていても日傘が躍りますね。

今日はわたしの父のお話をしたいと思います。

わたしの父は、田舎の小さな診療所で町医者をしています。
診療所は、兄が継いでくれることになり、
昨年から徐々に兄に引き継ぎをしています。

はじめはどうなることやらと思われた兄への引継ぎですが、
思いのほかスムーズに進み、
今月いっぱいをもって、父は完全に引退することとなりました。

診療所はもう、ほぼほぼ兄が切り盛りしているので、
父は、最後くらいのんびり仕事をしているのかと思いきや、
どうやらそうではないようです。

とんでもなく大忙し!という父に話を聞いてみると、
長年の患者さん方が、
「最後だから」と続々と足を運んでくださっているそうです。
「まるで閉店セールだよ(笑)」と笑う父。

馴染みの患者さんからは、
お菓子や果物などのお気遣いをいただいたり、
引退後の生活の指南をしていただいたり、
お手紙や、なかには自作の短歌までいただいたりしているそうです。

父が診療所を開いて21年。
地域の方々にあたたかく支えられての21年だったのでしょうね。
わたしも将来、仕事を終えるときには、
そんな風になれればいいなと思います。