亡くなってからでは遅い!相続税対策の話

梅雨も本番ですね。
じっとりとした日が続くようになりました。

さて、前回に続いて、
娘の会社に資金援助をしていたお父さんが亡くなった場合の
相続税について、今日が最終回(?)です。

これは、今わたしが携わっている、実際のお話です。

ではどうすればよかったのか?
お父さんが、生前に
「娘の会社に入れたお金については、返してくれなくていいよ」と
明確に意思表示をすればよかったのです。

え?それだけ?と思われるかもしれません。
それだけです。

もちろん、口でそう言っただけではだめです。
お父さんと娘の会社とで、きちんと書面を取り交わし、
娘の会社の帳簿に載っている「借入金」を消す処理が必要です。

そんなことしたら、娘さんの会社に、たくさん税金がかかるのでは?
確かに税金がかかる場合もあります。
しかし、「税金がかからない範囲で」借入金を消すことができる場合があります。

今回がそうでした。
娘さんの会社には、「繰越欠損金」といって、
前期までの赤字が500万円ほどありました。

この「繰越欠損金」というのは、
利益が出た年に、利益と相殺することができます。
つまり、今期500万円利益が出ても、
利益がゼロだったとして税金が計算されるというわけです。

お父さんは娘さんの会社に1500万円のお金を入れていました。
そのうち500万円を「返さなくていい」という処理をすれば、
娘さんの会社は500万円利益が出ますが、
繰越欠損金と相殺されてゼロとなり、税金はかかりません。

前々回にお話ししましたが、このお父さんの相続税率は45%!
この処理をしていれば、
500万円×45%=225万円もの節税が簡単にできたのです。

知っているか知らないかで、
大幅に節税できるのも、相続税の特徴です。
ぜひお元気なうちに、自身のこと、考えていただきたいものです。