遺品整理屋さんをご紹介したお客様のあたたかエピソード②

(前回の続き)

まず遺品整理屋さんがNさんに言ったことは、

「おばさんが大切に使っていたものでも、
引き取れないから捨てなきゃいけないものもあるでしょう。
そういうものは、遠慮なく言ってくださいね。
うちの馴染みのお寺さんで、
ちゃんと供養してもらってから、きちんと処分しますから。」

さらには、
Nさんが「おばさん夫婦の思い出の品」だと申し出た置き物については、
「それなら、お寺さんでこのまま使ってもらいましょうか?
おばさんの思い出と一緒にお寺さんに持って行きますよ。」

これにはNさんも大喜び。
捨てるしかないと諦めていたおばさんの思い出の品を、
お寺さんで大切に使ってもらえるのです。
同席していた私も、
遺品整理屋さんのあたたかい配慮に、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

こうしてほとんどすべてのものを処分することにしたわけですが、
一つだけ、Nさんが大事に持ち帰ったものがあります。

それは、一冊のノート。
亡くなられたおばさんが使っていた手書きの「レシピ」です。
「うちの娘がね、『ばぁばの作ってくれたパウンドケーキを作ってみたい』って言うのよ」
と涙をためながらほほえむNさん。

おばさんの味。
形のないものが、大事に大事に「相続」されていくのを見て、
私もあたたかな気持ちになりました。

きっとおばさんも、天国でにっこり笑いながら見てくれていることでしょう。