愛犬が家族に遺した最期のプレゼント

残暑がやわらいだと思った途端に、朝晩は肌寒く感じるようになりました。
お日様もやわらかく、風もさわやか、
本当に気持ちのいい季節ですね。

今日は、知人のお宅の、悲しいけれど温かなお話をご紹介します。

先日、知人宅の愛犬が天国に逝きました。
13歳。わんちゃんで言えばおじいちゃんです。
もう4年以上も病気を患っていて、
これまで生きられたことが不思議なほどだと、動物病院の先生もおっしゃっていたんだとか。

最期の数ヶ月は、
自分で立ち上がることも吠えることもできなかったわんちゃん。

それが、ある日の夜中、突然、きゃんきゃんと大きな声で吠えたのです。

飼い主である知人には、すぐ分かったそうです。
これが最期のときであると。

知人はすぐに、それぞれ独立して暮らしている息子と娘に電話をしたそうです。

真夜中にもかかわらず、1時間以上もかけて子供たちは駆けつけ、
家族全員で、わんちゃんの最期を見送ることができたとのことでした。

実はこの知人宅、いつも家族仲良しというわけではありません。
これまで色々な確執があったせいか、
家族全員が家に集まるなんてこと、もう10年近くなかったのです。

わんちゃんは、自分の最期をもって、
家族が家族として集まる機会をプレゼントしたのかもしれません。

ペットの死と人間の死を一緒にしてはいけないのですが、
少なからず、人間の「死」というものにも、通ずるものがあると思います。

相続を機に、離れて暮らす家族がもう一度、ぎゅっと家族に戻るような、
そんなご家族を、私もこれまでたくさん見てきました。

「死」を超えてなお、生き続ける想いがあるでしょうね。
こういう気持ちを大切にしたいと切に願います。

このわんちゃんも、天国で飼い主家族を見守りながら、元気に駆け回っていることと思います。