遺言書を書いておいて欲しかった!

最近、相続のお仕事を通してよく思うこと。
それは、
「遺言書を書いておいて欲しかった!」
「遺言書さえあれば、すべて解決できたのに・・・」
ということです。

このように思えてしまうお客様が立て続けにいらっしゃいます。
今日は、その一つについてご紹介します。

亡くなられた方(太郎さん)の相続人は、
妻(花子さん)・長男(一郎さん)・次男(次郎さん)・以前亡くなった長女の子(幸子さん)の4人です。
亡くなられた太郎さんは2か所の土地を持っていました。

ご生前のうち、太郎さんは、このように話していたそうです。
「〇〇市の土地は長男の一郎に、△△市の土地は次男の次郎に相続させるつもりだ。
だから、それぞれの土地に、それぞれの家を建てればいい。」

このような太郎さんの意向により、
一郎さんと次郎さんは、
太郎さんの土地の上に自身の家を構え、平穏な生活をしていました。

しかし、太郎さんが亡くなり、大変な問題が起きてしまったのです。
どんな問題かというと・・・。

相続人である妻の花子さんは認知症。
以前亡くなった長女の子、幸子さんは、まだ未成年。
相続人のうちに、認知症の方や未成年の方がいる場合には、
代理人が必要になります。

さらに、このような方については、
相続財産のうち、法律で定められている取り分(法定相続分)を、
『もらわないといけない』という決まりがあります。

つまり、
花子さんは遺産の2分の1を、幸子さんは遺産の6分の1を、
相続しないといけないのです。

困ったことに、亡くなった太郎さんの主な財産は、不動産でした。
そうです、
一郎さんと次郎さんがそれぞれ自分の家を建てている土地です。

一郎さんと次郎さんがそれぞれ土地を相続すれば、
花子さんと幸子さんが受け取る財産は、到底、法定相続分に達しません。

そうなると、一郎さんと次郎さんは、土地を相続する代わりに、
花子さんと幸子さんに、
二人が法定相続分を満たす分のお金を払わないといけなくなります。

「こんなことになるなんて知らなかった!
家を建てるのにローンも組んでるし、お金で払えと言われてもそんなお金ない!」
一郎さんと次郎さんの痛切な叫びも、法律は許してはくれないのです。

遺言書さえあれば!!!
このような事態にはならなかったのです。

不動産がある方、
特に、不動産を子供に継がせたいと思っていらっしゃる方、
遺言書が必須になる場合があります。

ぜひ、遺言書の作成をご検討ください。