相続と事業承継についての体験について

先日、すべての相続手続きが完了したお客様は、
歯科医院を営んでいるご家庭でした。

亡くなられたお父様は、現役の歯医者さん。
実質は、跡継ぎの息子さんが歯科医院を経営していましたが、
『個人事業』としての事業主は、お父様でした。

現役の個人事業主の方が亡くなると、
事業用の財産も相続財産となります。
相続手続きをスムーズに行わないと、
事業の継続に支障をきたすこともあります。

事業用の建物、現金や預金通帳はもちろん、機材や備品、商品在庫等々、
事業で使っているありとあらゆるものが相続財産となり、
遺言書がない限りは、いったんは、「相続人全員の共有財産」となります。

つまり、相続人で遺産分割協議が整わない限り、
相続手続きができないのです。

今回のお客様は歯医者さんだったので、
保険診療分の売上金が2ヶ月遅れで国から入金されるのですが、
それですら、相続人全員の印鑑がないと受け取ることができませんでした。

今回は、相続人全員の迅速な協力があったので問題はなかったのですが、
もし、相続人の一人がそっぽを向いて印鑑をおさなかったり、
海外赴任をしていてスムーズに手続きができなかったり、、、
そんなことを考えるとぞっとします。

とは言え、事業はまったなしです。
入金がとまれば、各種支払いに困ることもあるでしょう。

個人事業主をされている方には、必ず、遺言書を残していただきたいと思っています。
事業用の財産は跡継ぎの方へ相続させる旨を遺言書に記しておけば、
基本的には他の相続人の協力もいらず、お手続きがスムーズです。