遺言書に隠された大切な人への想い

暦の上では春だというのに、
まだまだ寒い日が続いています。
そろそろ春が、待ち遠しくなりますね。

先日、ご相談をいただいたお客様のお話です。

亡くなられた方は、遺言書を遺されていました。
公正証書遺言。公証役場で作成した、きちんとしたご遺言です。

しかし、中身を拝見して、
(亡くなられた方には申し訳ないのですが)
「もうちょっと、他にいい書き方があるのに・・・。」
と、思わず感じてしまうような、いわば、「不完全な」遺言でした。

「この遺言書じゃ、この後の手続きが大変になってしまうのに・・・。」
職業柄、ついつい、先のことを考えて、
私は心の中でそうつぶやいていました。

ところが、その遺言書と一緒に残されていた、たくさんのメモ書きを見て、
この遺言が「不完全」であることに、納得ができました。

そこには、
亡くなられた方の、心の葛藤が細やかに記されていました。

遺言書というのは、
「遺された家族が困らないように」という思いやりの気持ちが反映されているものです。
もちろん、その後の相続手続きがスムーズに進むように、
手続き上も問題のないパーフェクトなものを遺すことが理想的です。

しかし一方で、
遺言書は、その人の人生の集大成でもあります。
理路整然と整理できない部分が残ってしまうことが、
あっても仕方ないこともあるのですね。